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理解から支援へ。「高次脳機能障害者支援法」で社会を変える

高次脳機能障害とは、脳卒中や交通事故、脳炎などで脳が損傷を受けた後、言葉がうまく出てこなかったり、集中力が続かなかったり、感情のコントロールが難しくなったりする障害です。一見、外見では分かりにくいため、「見えにくい障害」とも言われています。

この障害を抱えている人たちは、以前できていた日常生活や仕事が思うようにできなくなり、社会とのつながりを失ってしまうこともあります。周囲の理解が不十分なために、「怠けている」「わがままだ」と誤解されることもあり、大きなストレスや孤独感を抱えがちです。

実は、こうした高次脳機能障害に特化した法律は、まだ日本には整っていません。医療や福祉の現場では一定の支援がありますが、法制度としての位置づけが弱く、当事者や家族が地域で安心して暮らすための支援が十分に届いていないのが現状です。

もし、「高次脳機能障害者支援法」のような法律が整備されれば、社会全体の理解が深まり、企業や学校、行政などでも合理的配慮が進むでしょう。何より、当事者自身が「自分の困りごとは社会全体で支えるべき課題なのだ」と感じられるようになります。

私たちは、見えにくい障害にも光を当て、一人ひとりが尊厳をもって生きられる社会を目指す必要があります。法の力で支援の土台をつくることは、その第一歩になるはずです。

そこで、高次脳機能障害支援法(案)を作成しました。

高次脳機能障害者支援法(案)

目次

第一章 総則

(目的)

第1条
この法律は、脳損傷等により生じる高次脳機能障害を有する者(以下「高次脳機能障害者」という。)が、個人としての尊厳を保持しつつ、自立した生活と社会参加を実現できるよう、国、地方公共団体及び市民の責務を明らかにするとともに、必要な支援の提供に関する施策の基本的事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条
この法律において「高次脳機能障害」とは、脳卒中、外傷性脳損傷、脳腫瘍、脳炎、低酸素脳症等により、記憶・注意・遂行機能・社会的行動・言語機能等の認知機能に障害を生じ、日常生活及び社会生活に制約を受ける状態をいう。

第二章 基本理念および権利

(基本理念)

第3条

  1. 高次脳機能障害者は、障害があっても一人の人間として、その人格と尊厳を尊重される。
  2. 高次脳機能障害者は、可能な限り地域社会において自立した生活を営む権利を有する。
  3. 高次脳機能障害者の特性に応じた合理的配慮を受ける権利を有し、その意思表明の手段が多様であることを認める。

第三章 国および地方公共団体の責務

(国の責務)

第4条
国は、高次脳機能障害者の支援に関する基本的施策を策定し、その実施に努めるものとする。

(地方公共団体の責務)

第5条
地方公共団体は、地域の実情に応じて、支援体制の整備、相談窓口の設置、福祉・医療・教育・就労の連携等を行うものとする。

第四章 支援の具体策

(医療とリハビリテーション)

第6条

  1. 高次脳機能障害者に対する早期診断と専門的リハビリテーションを受ける機会を保障する。
  2. 言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士等の専門職による支援体制の強化を図る。

(教育支援)

第7条
障害発症前後における教育支援、復学支援、学び直し支援等の機会を確保する。

(就労支援)

第8条

  1. 高次脳機能障害者の特性に配慮した就労支援を実施する。
  2. 雇用主に対する助成金や雇用継続のための合理的配慮制度を設ける。

(日常生活支援)

第9条

  1. ピアサポートや支援者の配置、ICTを活用した意思疎通支援などを行う。
  2. 高次脳機能障害者向けのグループホームや短期入所施設の整備を促進する。

(相談支援体制の強化)

第10条
専門的な支援員の育成と配置を進め、当事者および家族が相談しやすい環境を整備する。

第五章 権利擁護と差別の禁止

(差別の禁止)

第11条
高次脳機能障害を理由とする不当な差別を禁止し、社会的障壁の除去に努める。

(成年後見制度・意思決定支援)

第12条
意思決定支援を重視し、本人の意思を尊重した支援を行う。必要に応じて成年後見制度の適正な運用を図る。

第六章 当事者の参画と評価

(当事者の参画)

第13条
当事者および家族、支援者等の意見を施策の立案・評価・見直しに反映する仕組みを整える。

(施策の評価・見直し)

第14条
国及び地方公共団体は、定期的に本法に基づく支援の効果を評価し、必要に応じて見直しを行うものとする。

第七章 附則

(施行期日、経過措置、政令への委任などをここに記載)

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