最近、野村総合研究所(NRI)が発表した報告によって、「気がついたら1億円」——つまり「いつの間にか富裕層」になっていた人たちが増えているという興味深い現象が注目を集めています。
■ 富裕層が“いつの間にか”誕生する時代
NRIの調査によると、2023年時点で純金融資産1億円以上を保有する世帯は165万に達し、過去最多を更新しました。その中で特に目立ってきたのが「いつの間にか富裕層」と呼ばれる層。年収500万~600万円ほどの一般的な会社員だった人々が、気づけば資産1億円を突破していたというのです。
これは、アベノミクスによる株高や、NISAなどの制度開始による投資環境の整備が大きく関係しています。とくに自社株購入や投資信託をコツコツ積み立てた人々が、地道に資産を増やしてきた結果だといえるでしょう。
しかし、ここには落とし穴もあります。
■ 弱点は“金融リテラシー”
NRIは「いつの間にか富裕層」の大きな課題として、「金融リテラシーの低さ」を挙げています。資産を築いたものの、金融商品を深く理解せず、他人任せで運用しているケースが少なくないのです。
たとえば、長期投資を盲目的に信じている人もいますが、すべての資産が“平均回帰”するとは限りません。極端なインフレや経済危機に直面すれば、大切な資産が一瞬で目減りすることもありえます。
崔真淑(さい・ますみ)エコノミストの指摘通り、資産分散が鍵となります。株式だけでなく、債券、金、不動産、さらには仮想通貨のようなハイリスク資産まで、リスクを抑えながら“経済ショックへの備え”をしておく必要があります。
■ 特許の視点で見る「新富裕層」のヒント
ここで注目したいのが、「新しい富裕層」による資産の活用方法として知的財産(特許など)への投資や創出です。例えば、投資で得た余剰資金を使って、自身のアイデアや経験をビジネス化する動きが今後増えていくと考えられます。
特許は、ただの“発明”だけではありません。たとえば…
- 資産運用の新しい手法(AIを活用した分散投資アルゴリズム)
- 家計管理アプリの構成や設計方法
- 高齢者向けの資産管理支援ツール
など、個人の体験から生まれるアイデアでも、知的財産として保護されることがあるのです。
今後は、「知らずにお金持ちになった人」が、“知ってお金を守る・増やす”フェーズに移行しなければなりません。その際、特許や商標などの知的財産が「守る武器」として役立つ可能性が高いのです。
■ 富裕層の消費が経済のカギを握る
一方で、政府や経済学者が注目するのは「富裕層の消費性向の低さ」です。バブル崩壊、リーマン・ショック、長引くデフレ——これらを経験した40代後半~50代は、堅実な生活を好みます。贅沢よりも“守り”を重視するため、大きな消費にはなかなか結びつきません。
そこで注目されているのが、住宅ローン減税やリフォーム減税といった政策によって、「お金を使いたくなる仕組み」を作ることです。税制優遇と組み合わせたスマートホーム技術の導入など、家を“快適で知的な投資対象”に変える工夫も、今後の鍵となるでしょう。
■ まとめ:気づかぬうちの富裕層、次は「自ら築く富裕層」へ
「気づいたら1億円」——この現象は、私たちに大きな学びを与えてくれます。
- 小さな積立と長期視点が、将来大きな資産につながる
- 投資の成功に慢心せず、知識とリスク管理を習得すべき
- 富を“眠らせる”のではなく、未来に“活かす”ことが必要
- 知的財産という形で、自分のアイデアを資産化できる可能性もある
私たちはこれから、「気づいたら富裕層」ではなく、「自分の意志で未来を切り拓く富裕層」を目指すべき時代に生きているのかもしれません。
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