私たちは、毎日の生活の中で「朝食」をどれくらい意識しているでしょうか。朝は時間に追われ、コーヒーだけで済ませたり、まったく食べなかったりする人も多いかもしれません。しかし、朝食は脳と体を目覚めさせる大切なスイッチなのです。
【朝食の科学的な意義】
人の脳は、睡眠中もエネルギーを消費しています。朝起きたとき、体内のグリコーゲン(糖の貯蔵エネルギー)はほとんど使い果たされており、脳は“燃料切れ”の状態です。ここで朝食をとらないと、集中力や記憶力、判断力などが落ちやすくなります。特に子どもや高齢者、そして認知機能に課題を持つ方にとって、朝食は「脳の健康」のために欠かせない存在といえるでしょう。
さらに、朝食をしっかり食べることで、1日の血糖値の安定や代謝の促進にもつながり、生活習慣病の予防にも効果的です。
【朝食と脳機能障害の関係】
私は2019年に脳梗塞を経験し、失語症などの高次脳機能障害を抱えるようになりました。その後、2020年にはてんかんも発症しました。こうした脳機能障害を経験する中で、「朝、何を食べるか」が体調や発作の予防に影響することを実感しています。
例えば、急激な血糖値の変動は発作を引き起こしやすくします。そのため、血糖値がゆるやかに上昇するような、低GI食品(玄米、納豆、ヨーグルトなど)を取り入れた朝食が望ましいのです。
【朝食と特許の交差点】
私はこの経験をもとに、**「朝食が脳機能障害をサポートするための特許」**を考案しました。現在、以下のような観点から特許出願を行っています。
■ 特許案1:失語症・認知障害支援の朝食提案アプリ
特願2023-177021(失語症支援用)
音声や視覚による情報処理が困難な人に向け、朝の時間に合わせて「今日食べるとよい朝食メニュー」を視覚+イラスト+簡素化音声で提案するスマートフォンアプリです。たとえば「納豆+ご飯+味噌汁」のメニューを、ひらがなとイラストで提示し、聴覚と視覚の両方で支援します。
■ 特許案2:てんかん・血糖値安定支援の食品自動選定システム
特願2023-177022(てんかん支援用)
ユーザーの体調(睡眠、前日の血糖値、発作履歴)に基づき、その日の朝におすすめの食品を自動で選定。たとえば「今日は血糖値が低いので、バナナとオートミールを推奨」といったように、朝の脳活動を最適化する支援技術です。
【社会への広がり:高齢者、障がい者、子どもにも】
このような朝食支援の技術は、単なる「便利なツール」ではありません。高齢者の認知症予防や、発達障害を持つ子どもたちの集中力向上にも役立つと考えています。特許技術を通じて、誰もが自分に合った「脳にやさしい朝食」を選びやすくなる社会を目指しています。
【未来に向けて】
朝食という一見“日常的な行為”にも、健康、脳科学、そして知財の視点を加えることで、社会課題を解決する新たな発明の可能性が広がっていきます。
「特許=難しい技術」ではありません。身近な体験や困りごとから始まり、それを支える仕組みを考え、社会に届ける。それこそが、今の時代に求められる知的財産のあり方ではないでしょうか。
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