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鍼灸は、脳を再びつなぐ鍵となるのか──高次脳機能障害と失語症に挑む「針」の力

脳卒中や事故などで脳にダメージを受けると、「高次脳機能障害」や「失語症」といった、目には見えにくい障害が残ることがあります。私自身も、その一人です。

「聞こえているのに意味がつかめない」「話そうとしても言葉が出てこない」「記憶がふわっと消えてしまう」

そんな日々の中、ふと耳にしたのが「鍼灸は、脳にも効くかもしれない」という言葉。東洋医学と現代の神経科学が交差する、この不思議な領域。私は今、可能性の扉をノックしています。


目次

🔍 高次脳機能障害と鍼灸──神経科学的なアプローチ

鍼灸(しんきゅう)と聞くと、「肩こり」や「腰痛」に効くイメージがあるかもしれません。けれど、最近では脳のリハビリとしての可能性に注目が集まっています。

その根拠は、末梢神経への刺激が、脳の血流と神経活動を変化させるという事実。
つまり、鍼灸で皮膚や筋肉の表面を刺激することで、大脳皮質の一部が活性化される可能性があるのです。

とくに、**耳・顔・頭皮まわりのツボ(経穴)**は、言語機能や認知機能を司る脳の部位──ブローカ野、ウェルニッケ野、前頭葉など──と密接な関係があるといわれています。


📚 鍼灸と失語症・高次脳機能障害の臨床報告

✅ 失語症に対する効果

中国・韓国などでは、鍼灸が脳卒中後の失語症改善に役立つという研究が複数報告されています。

具体的には、標準失語症検査(SLTA)やWAB失語症検査といった言語評価で、スコアが明確に向上した例があります。

さらに注目すべきは、言語療法(Speech Therapy, ST)と鍼灸を併用することで、より効果が高まるという点です。
これは、鍼灸で脳の興奮性を高めた状態で、言語訓練を行うことで、神経ネットワークの“再構築”がスムーズに進むと考えられています。


✅ 高次脳機能障害にも応用

記憶、注意、判断、感情のコントロール……
こうした「高次脳機能」は、前頭葉に深く関わっています。

ここで効果が期待されるのが、「百会(ひゃくえ)」や「神庭(しんてい)」といった前頭部のツボ
これらに鍼刺激を行うと、fMRI(機能的MRI)や近赤外線光トポグラフィーで、前頭葉や帯状回、頭頂葉の活性化が確認されているのです。

つまり、鍼灸は**脳の再接続をうながす「スイッチ」**として働く可能性がある、ということです。


🎯 効果が出やすい条件とは?

すべての人に効果があるわけではありませんが、次のような条件が整うと、より良い結果が得られやすいと報告されています。

条件説明発症からの時間が短いとくに発症後3〜6ヶ月以内は、脳の**可塑性(再編能力)**が高く、回復の“ゴールデンタイム”とされています。他のリハビリと併用言語訓練、注意訓練、作業療法(OT)などと組み合わせることで、刺激が相乗的に働きます。刺激部位が適切頭部・顔面・耳介・上肢など、障害に関連する経絡に刺激を集中させることが重要です。継続性鍼灸は「1回で治る」ものではありません。週2〜3回の治療を数ヶ月続けることで、神経回路の再学習が期待されます。


🔬 特許技術との関連性──科学が裏付ける「鍼灸の効能」

実は、私が興味を持ったのは、ある特許明細書に次のような記述があったからです。

「鍼灸は体性感覚刺激の一例であり、間葉系幹細胞と組み合わせて用いることで、神経障害の回復を促進する可能性がある」

これは、幹細胞を静脈投与しながら、言語刺激や高次脳刺激、鍼灸などをタイミング良く与えることで、細胞が脳に集まりやすくなり、再生が進むという新しい発想でした。

つまり、科学的にも「鍼灸は神経に影響を与える手段のひとつ」として認められているのです。


✅ 私たちにとっての「再起動ボタン」

高次脳機能障害や失語症は、「元に戻ることは難しい」と言われがちです。

でも、もし鍼灸のように「シンプルだけど神経に届く方法」があるなら。
それが、私たちにとっての**“再起動ボタン”**になる可能性があるのなら。

試してみる価値は、あるのではないでしょうか。

私は、希望を捨てません。
今日もゆっくり、ことばを探しながら、針と向き合っています。


✍️ まとめ

  • 鍼灸は、失語症や高次脳機能障害の改善に寄与する可能性がある
  • 神経科学的にも、脳血流や皮質の活性化が確認されている
  • リハビリと併用することで、効果が最大化
  • 特許技術とも関連し、幹細胞治療との併用でさらに有望な結果が得られるかもしれない
  • 諦めずに、脳を“再学習”させる道が、まだここにある
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