■ 現代の子どもたちが直面している「2つの危機」
最近の衝撃的な研究結果をご存知でしょうか。 今の若い世代(Z世代)は、親の世代に比べて「経済的に豊かになれないかもしれない」という予測に続き、なんと「知能や学力(認知能力)」でも親の世代を下回るというデータが示されました。
アメリカの脳科学者ジャレッド・ホーバス博士の報告書によると、今の子どもたちは以前の世代に比べて「注意力」「記憶力」「読解力」といった、頭を使う力のほとんどが低下しています。これは歴史上初めての事態です。 博士は、その主な原因を「2010年頃から学校現場などでデジタル技術を使いすぎていること(過度な依存)」にあると分析しています。
■ AIを使うと「頭」は良くなる?悪くなる?
今、AI(人工知能)は私たちの生活を激変させています。すでに10代の7割がChatGPTなどの生成AIを使っているというデータもあります。
では、便利なAIを使って勉強すれば、子供たちの成績は上がるのでしょうか? OECD(経済協力開発機構)の調査によると、答えは残念ながら「No」である可能性が高いです。
AIを使って勉強すると、一時的には成績が上がったように見えます。しかし、最終的には「AIを使わずに自分の頭で勉強した生徒」の方が、実力が高いことが分かりました。 理由はシンプルです。AIに答えを教えてもらうと、自分で悩み、考えるプロセスを飛ばしてしまいます。「筋トレ」をせずにマシンに座っているだけでは、筋肉(脳力)がつかないのと同じです。
■ 脳が一番育つ時期に「思考」を外注してはいけない
イギリスのケンブリッジ大学の研究では、人間の脳は9歳から32歳の間にもっとも大きく成長すると言われています。この時期に何を経験し、どう頭を使うかで、脳の「性能」が決まります。
もし、この決定的に重要な時期に「考えること」をAIに任せて(外注して)しまったら、脳の成長はそこで止まってしまうでしょう。
最強の囲碁AI「アルファ碁」を作ったデミス・ハサビス氏(Google DeepMind CEO)はこう言っています。 「AI時代に大切なのは適応力だ。しかし、まずはAIに頼らず、基礎的な学問を情熱を持って学ぶべきだ」
電卓を使う前に、まずは自分で計算できるようになること。基礎ができていないのに便利な道具だけ使っても、意味がないのです。
■ 「不便」を知る本人にしか、生み出せないものがある
AIは文章を作るのは上手ですが、人間の感情がこもった「物語」を作ることは苦手です。 アインシュタインやスティーブ・ジョブズといった天才たちは、技術書だけでなく、古典文学やSF小説を読んで感動し、そこから革新的なアイデアを得ていました。「感性」や「情熱」は、人間にしか持てないものです。
私は現在、特許出願を代理する弁理士として働いていますが、同時に「高次脳機能障害」「てんかん」「失語症」という障害を抱えています。 これらは一見、AI時代において不利な条件に見えるかもしれません。しかし、私はこう確信しています。
「私は高次脳機能障害ですが、この『本人』にならないと、新しいアイデアや特許は出て来ないのです」
AIは「平均的で効率的な答え」は出せますが、「痛み」や「生きづらさ」を感じることはできません。 「ここが不便だ」「もっとこうなら優しいのに」という切実な感覚。 これこそが、AIには決して真似できない「新しい発明の源泉」です。障害や困難という「当事者性」こそが、独自の視点を生み出すのです。
■ 結論:これからの時代を生き抜くために
AIがどんなに進化しても、人間が持つ「何かを成し遂げたいという情熱」や「忍耐力」、そして「不便を解消したいという願い」まで奪うことはできません。
若い世代の皆さんが、便利な技術に頼りすぎて「考える力」や「想像する力」を失ってしまうことを危惧しています。 これからの時代、最新のAI技術を学ぶことも大切です。しかしそれ以上に、
- 本を読む
- 手書きで書く
- 人と直接話し、摩擦や温かさを感じる
といった「アナログな基礎教育」をしっかり行うべきです。 不便さを知り、自分の頭で汗をかいて考えること。それこそが、AIに支配されず、AIを使いこなす未来のリーダーを育てる唯一の道なのです。

高次脳機能障害の「困りごと」を発明に。特許で守り、事業に育てる。





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