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憲法と生成AI:新時代の権利と倫理を考える
はじめに 5月3日は「憲法記念日」です。日本国憲法は、私たちの権利や自由を守るための基本原則を定めたものです。一方、近年急速に発展している生成AI(Generative AI)は、社会のあり方を大きく変えつつあります。 生成AIは、文章、画像、音楽、動画など... -
Googleの子ども向け「Gemini」公開が示すAI教育の未来と課題
はじめに:AI時代の子育て新ツール Googleが13歳未満の子ども向けに機能制限を課した「Gemini」の段階的公開を開始しました。この動きは単なる新機能の追加ではなく、デジタルネイティブ世代の教育とAIの関係性を根本から問い直す重要な転換点と言えるでし... -
「非合理な楽観主義」と「非合理な悲観主義」:国の成功を左右する思考の力
はじめに:思考が現実を変える 「米国の最も大きな強みの1つは非合理な楽観主義であり、日本の最も大きな弱みの1つは非合理な悲観主義である」 この一文は、単なる精神論ではなく、経済成長、技術革新、社会変革にまで影響を与える「思考の力」を表してい... -
関税で経済は本当に強くなるのか?――トランプ政権の成長戦略を読み解く
アメリカのGDPが3年ぶりにマイナス成長(年率換算で−0.3%)に転じたことに対して、トランプ前大統領が「これはバイデン政権の失政だ」と語りました。しかし、マクロ経済の変化は、たった数か月で突然起こるものではありません。特に今回のように「関税政... -
「認知バイアス」は武器にもなる──情報の時代を生き抜くための教養とは
「人は合理的に判断している」と、私たちはどこかで思い込んでいます。しかし、現実には私たちの思考や選択は、多くの場合「認知バイアス」によって歪められています。 情報があふれる現代、真実にアクセスできることがかえって判断を狂わせる paradox(逆... -
固定金利が下がった理由と、住宅ローン選びの新視点
2025年5月。日本の大手銀行5行(三菱UFJ、三井住友、みずほ、三井住友信託、りそな)は、住宅ローンの代表的な「10年固定金利」を一斉に引き下げました。背景には、米国のトランプ政権による関税政策の影響で、日本の長期金利が下がったことがあります。つ... -
「IQ神話」の崩壊:なぜ高知能が必ずしも成功に結びつかないのか
はじめに:神童たちのその後 小学校時代に「神童」と呼ばれたあの子は、今どこで何をしているだろうか。クラスメートから「あの子は将来きっとノーベル賞を取る」と囁かれた天才少年は、30代になった今、ごく普通の会社員として毎日満員電車に揺られている... -
身体と会話する“未来のメガネ”──健康、社会、安全を支える新しい視点と特許構想
私たち人間の身体は、情報の「入力」と「出力」によって機能しています。たとえば、目や耳から情報を受け取るのが「入力」、言葉を話したり、排泄したり、行動するのが「出力」です。 現代のテクノロジーは、この情報の流れを補完し、拡張する方向に進化し... -
図書館が拓く未来──知識の宝庫から社会のインフラへ
1950年4月30日――今からちょうど75年前、戦後の混乱がまだ残る中で、日本における「図書館法」が公布されました。これを記念して、今日は「図書館記念日」と定められています。この法律は、図書館をすべての人に開かれた知の拠点とするためのものであり、「... -
世界最大級の「256量子ビット」へ──量子コンピューターの新たな夜明け
2025年4月、日本のテクノロジーが世界に誇る成果が報道陣に公開されました。富士通と理化学研究所(理研)が開発した256量子ビットの超伝導型量子コンピューターです。これは、従来機(64量子ビット)と比べて計算能力が4倍に向上した、世界最大級のシステ... -
スマホ認知症とは?──脳を守るためにできることと、新しい技術アイデア
スマートフォンは、私たちの生活に欠かせない存在になりました。しかし、その便利さの裏で、脳に深刻な影響を与える「スマホ認知症」という新たな問題が浮上しています。 最近の医師たちの報告によれば、日本国内だけで、スマホ認知症の「予備軍」が1000万... -
AIと権力の危うい関係──制御不能な未来に備えるには?
近年、AI(人工知能)の進化が急速に進んでいます。しかし、人間は本当にAIをコントロールできるのでしょうか?歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、「独裁国家こそが最初にAIに征服される」と警鐘を鳴らしています。 権威主義体制は「恐怖」によって支配... -
急にLINEなど別アプリに誘導されたら?〜オンラインの高いリスクと、金銭詐欺の危険性〜
現代はスマートフォン一つで世界の誰とでも簡単につながれる時代です。 SNSやチャットアプリを使い、見知らぬ相手とも信頼関係を築きあげることができます。 しかし、この便利さの裏には、大きなリスクも隠れています。 その一つに「急にLINEなど別アプリ... -
睡眠障害が「診療科」になる時代へ──新たな医療と特許の可能性
現代社会では、睡眠に悩む人が急増しています。しかし今まで、日本の医療機関では「睡眠障害」という名前を診療科に掲げることができませんでした。どこに相談すればよいのか分かりにくい――そんな現状を変える動きが始まっています。 日本睡眠学会は、「睡... -
「2025年はARグラス元年」──障がい者を支える新しい未来へ
2025年、いよいよAR(拡張現実)グラス元年が到来しようとしています。 これは、単なる技術の進化ではありません。社会全体のあり方を変える第一歩でもあります。 日本発のディスプレー開発企業「Cellid(セリッド)」が、超軽量・高性能なARレンズの量産... -
生成AI(ロボット)が家事を変える未来──新しい視点と特許の提案
私たちの日常生活に欠かせない「家事」。 掃除、洗濯、調理、買い物、育児、介護……すべて、人間の生活を支える大切な仕事です。しかし、家事は時間も体力も使うため、誰にとっても負担になることが多いですよね。特に、障がいのある方や、高齢者、認知症の... -
原風景から未来へ──田園と科学と、そして特許への道
小さな田舎町の、豊かな自然に囲まれた暮らし。私は、山口県周南市(旧徳山市)のこんな風景の中で生まれ育ちました。釣りに出かけたり、田んぼで泥だらけになったり。自然とともに遊び、自然からたくさんのことを学びました。 中学生になると、次第に「本... -
日本発・生成AI革命:社会と産業を変える「新しい科学の道」
世界がいま、生成AIの進化に注目しています。そして、日本もまた、この「AI革命」の大波に真剣に挑んでいます。 東京大学の松尾豊教授は、こう語りました。「AIは、これまでの科学の進め方自体を変える可能性を持っている」と。人間の直感や経験だけに頼っ... -
「四つ葉のクローバー」と科学──偶然から未来技術へ
4月28日は「四つ葉の日」。この日にちなんで、幸運の象徴とされる四つ葉のクローバーについて、少し深く考えてみましょう。 四つ葉のクローバーは、一般的なクローバー(三つ葉のクローバー)が何らかの要因で突然変異を起こしたものです。その発生率は、... -
高速道路で逆走が起きる理由と、新しい防止技術の可能性
2025年4月26日、栃木県那須塩原市の東北自動車道上り線で、悲しい事故が起きました。逆走した車両が複数の車と衝突し、2人が亡くなったのです。実は、高速道路の逆走は全国で毎年約200件も発生しています。そしてそのうちの約2割が事故につながっていると... -
「1秒で即翻訳 世界最速の『同時通訳』アプリ!
私は、YouTubeで「1秒で即翻訳 世界最速の『同時通訳』アプリを生み出せたワケ【橋本幸治の理系通信】」を拝見しました。 https://www.youtube.com/watch?v=wk1pVcRrenk この動画は、日本発のAI翻訳アプリが、世界最速レベルの同時通訳を実現した背景を、...