はじめに
日本には約4,300万人もの高血圧患者がいます。これはまさに「国民病」といえる状況ですが、実際に治療を受けて血圧を適切にコントロールできている人は全体の4分の1程度にとどまります。
そんな中、日本高血圧学会が新たに示した指標が注目を集めています。それは―― 「朝の最高血圧は130を超えないこと」。
「血圧朝活キャンペーン」という言葉で全国に呼びかけが始まっています。
なぜ「朝の血圧」なのか?
血圧は1日の中で変動します。特に 朝は脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる時間帯 です。
2万1,600人の高血圧患者を追跡調査した結果、朝に測った最高血圧が130を超えると、脳卒中や心筋梗塞の危険がぐっと高くなることが分かりました。
学会理事長の苅尾七臣教授(自治医科大学)はこう警告します。
「朝の血圧が130を超えたら、危ないと思ってほしい」
測らなければ始まらない
残念ながら、日本では家庭血圧を測る人の数が減少している地域もあります。
苅尾教授は「高血圧は予防できる病気なのに、血圧を測る習慣が薄れているのはショックだった」と語ります。
だからこそ、学会は 「まずは測ろう」 と呼びかけています。
- 自宅の血圧計
- 健康診断や診察室
- 職場やスポーツジム、公共施設の自動血圧計
どこでも構いません。朝の最高血圧が130以上の日が続いたら、血圧手帳を持って医師に相談しましょう。
血圧を守る生活習慣
血圧をコントロールするには薬だけでは不十分です。日々の生活習慣が大きなカギを握ります。
- 減塩とカリウム摂取(野菜や果物から)
- 適度な運動
- 体重管理(太りすぎを避ける)
- 住環境の工夫(ヒートショックを防ぐ室温調整:18℃以上、高齢者は22℃以上を推奨)
「食事・運動・体重・住環境」――この4つが血圧を支える柱です。
世界と比べた日本の課題
日本は主要先進国の中で、血圧コントロール率が「下から2番目」という厳しい現実があります。
大屋祐輔理事長(沖縄県北部医療財団)は強調します。
「血圧を10下げれば、脳卒中や心筋梗塞のリスクを約20%減らせる」
つまり、血圧をきちんと管理することは「命の貯金」といえるのです。
新しい取り組み ― 血圧管理アプリ
今回のガイドラインで注目されるのが、スマートフォンアプリによる血圧管理です。
例えば、保険適用された「CureApp高血圧治療補助アプリ」では、
- 患者が動画で学び
- 血圧データを医師と共有し
- 生活習慣改善を一緒に取り組む
といった使い方ができます。すでに47都道府県で導入されていますが、クリニックでの普及はまだ1割弱にとどまります。
アプリを活用した“デジタル血圧手帳”が広がれば、未来の高血圧治療の姿は大きく変わるかもしれません。
まとめ
- 高血圧は「沈黙の病気」ですが、放置すると命に関わるリスクがあります。
- 朝の最高血圧130が、新しい健康の分岐点です。
- 「測る → 記録する → 医師に相談する」この習慣が未来の健康を守ります。
あなたの今日の朝の血圧は、いくつでしたか?
もしまだ測っていないなら、今すぐチェックしてみてください。それが、あなたの脳と心臓を守る第一歩になります。
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