足腰のツボを刺激すると血行が良くなり、それが脳の活性化につながる――。この考え方には、いくつかの科学的な根拠や研究報告があります。

1. 血行促進と脳への影響
- 足裏と脳の関係
足裏は「第二の心臓」と呼ばれ、全身の血行を支える重要な役割を担っています。マッサージで血流が促進されると、心臓に戻る血液の流れもスムーズになり、結果として脳への血流量が増えると考えられています。 - 脳血流量の増加
血流が増えることで、脳の細胞に酸素や栄養がより多く供給されます。実際に、足裏をマッサージした認知症患者では脳血流や脳波に変化が見られ、脳の興奮が落ち着きリラックスした状態になったという報告もあります。
2. 神経を介した脳への刺激
- 末梢神経からの伝達
足裏には多くの末梢神経が集中しています。ツボを刺激すると、その信号が脊髄を通じて脳へと伝わり、脳の活動やホルモン分泌が促されます。 - 鎮痛物質の分泌
刺激によって脳内でオピオイドやβエンドルフィンといった「鎮痛・リラックス物質」が分泌されることも分かっています。これにより痛みが和らぎ、ストレス軽減効果も期待できます。
3. 科学的な研究例
fMRI(機能的MRI)を用いた研究では、ツボを刺激した際に延髄や中脳といった部位が活性化することが確認されています。これらは自律神経の調整やリラックスに深く関わる領域です。
4. 高次脳機能障害(HBD)での使い方
- 思考系(前頭前野)トレーニングのウォームアップとしては有用。
- 短時間・低刺激・体調優先が原則(1回3〜5分で十分)。
- 外部メモ(チェックリスト/20文字目標)と併用すると安全で効果的。
- 既往や服薬がある場合は主治医・OTに共有して調整を。
5. 手軽にできるセルフケア(30〜60秒でOK)
- 土踏まず〜かかとを痛くない程度に円を描くように押す
- 指の付け根をつまんで軽くひねる
- ふくらはぎを下から上へなで上げる
- 深呼吸を3回(4秒吸う・6秒吐く)
※痛みが出るほど強く押さないこと。持病やケガのある部位は避けてください。
まとめ
足腰のツボをマッサージすることは、単なる血行促進にとどまらず、神経系を介して脳に直接働きかける可能性があります。脳の活性化やリラックス効果も期待できますが、効果は人によって異なります。大切なのは「心地よい強さ」で、無理なく続けることです。
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