要約
日本の治安は世界的に「良い」とされる一方で、実は国民の4人に1人が何らかの犯罪被害に遭っているという衝撃のデータが明らかになりました。とくに問題となっているのが、届け出がされない「暗数(あんすう)」の犯罪。あおり運転、クレカ詐欺、ネット誹謗中傷、DVや児童虐待など、可視化されない被害が静かに社会を蝕んでいます。
本記事では、これらの「見えない犯罪」を可視化し、未然に防ぐための次世代ARメガネの特許構想を紹介します。生成AIとリアルタイム録画・分析技術を融合させたこのメガネは、「記録」「警告」「通報」「支援」の4機能を搭載。社会的孤立をなくし、誰もが安心して声を上げられる世界を目指す、未来型の防犯テクノロジーです。
なぜ今、「防犯メガネ」が必要なのか?
「日本は安全な国」――これは一種の“神話”になりつつあります。最新の調査(法務省『第6回犯罪被害実態調査』)では、過去5年で実に24.9%の人が犯罪被害を経験していることが明らかになりました。つまり、4人に1人が何らかの形で傷ついているのです。
さらに問題なのは、そのほとんどが表に出ていないこと。届け出がされず、記録もされず、社会的に“なかったこと”になっている犯罪が無数に存在します。これが「暗数」と呼ばれるものです。
被害者が声を上げられない理由としては、以下のようなものがあります。
- 証拠がない(記録していなかった)
- 警察が動いてくれないと思っている
- 加害者の報復が怖い
- 「大したことじゃない」と自己判断してしまう
- そもそも相談先が分からない
このような構造的な問題を打ち破るには、被害に気づいた“その瞬間”に、記録と支援が始まるツールが必要です。そして、テクノロジーはすでにその段階に到達しつつあります。
「記録」「警告」「通報」「支援」──4つの力をもつ特許メガネの構想
1. 記録:リアルタイムで証拠を自動保存
メガネには前方カメラとマイクが搭載されており、周囲の映像と音声を常時バッファリング。特定の状況(たとえば怒鳴り声、急な加速・減速、暴言、接近など)をAIが検知した瞬間に自動録画・自動クラウド保存が始まります。
この機能は、あおり運転、ストーカー行為、ハラスメント、DVなどの被害を証明する強力な「盾」となります。

2. 警告:AIがその場でアラートを発する
生成AIがリアルタイムで会話や行動を解析し、「危険かもしれない行為」を検出すると、ユーザーに対して視覚(AR表示)や音声で警告します。
例:
- 「今の発言は暴言に該当する可能性があります」
- 「背後に接近者あり」
- 「カード情報の入力を促すフィッシング画面が表示されています」
こうした「その場の警告」があるだけで、行動を変えるきっかけになります。
3. 通報:匿名でも即時に相談・報告可能
「怖くて相談できない」「誰に言えばいいか分からない」といった状況に対応するため、メガネはボタン1つで、あらかじめ登録した支援団体・家族・警察への匿名通報が可能です。
録画データ、位置情報、AIによる要約(「○○と叫んでいる声」「顔認識結果:□□氏」など)を添えて、相談機関に自動送信されます。
4. 支援:孤立を防ぐコミュニティ機能
周囲に同じメガネを使っているユーザーがいるとき、メガネが**「サポート可能な人が近くにいます」と通知**する機能も搭載。
ユーザー同士が「困っている人を助ける」社会的連携を生み出すことができ、支援を受ける側も「話しかけていいんだ」と感じられます。
想定される利用シーン
シーン | 活用方法 |
---|---|
通勤電車内 | 痴漢行為やハラスメントの記録と警告 |
自動車運転中 | あおり運転の録画とナンバープレートの自動認識 |
オンライン会議中 | セクハラ・パワハラ発言の検知と記録 |
家庭内 | DVの証拠記録と自動通報、児童虐待の検知 |
スマホ利用中 | フィッシング詐欺や詐欺広告をAIが警告 |
特許アイデア概要
【タイトル】
「犯罪予兆・被害記録・通報を統合支援するAR眼鏡型AIシステム」
【要素技術】
- 音声・映像の常時バッファリング技術
- 複数センサー(加速度・GPS・音声分析)による異常検出
- 生成AIによるリアルタイム言語解析・リスク判定
- 通報用匿名送信モジュール
- ピア・サポート機能によるAR表示ネットワーク
【対象犯罪】
- 対人:ハラスメント、DV、ストーカー
- 対物:詐欺、ネットトラブル、窃盗
- 公共:あおり運転、交通違反
社会的意義と未来
このメガネが広く普及すれば、犯罪の暗数は大幅に減り、「声を上げられなかった被害者」が安心して助けを求められるようになります。
さらに、被害を記録しにくい障害者・子ども・高齢者にとっては、まさに**“第三の目”としての役割**を果たします。声に出せなくても、手を挙げられなくても、テクノロジーが代弁者になるのです。
また、加害者側も「見られている」「記録されている」という意識から、犯罪抑止力が働くと考えられます。つまり、予防にも対応にも使える二重の防犯装置なのです。
結びに
「見えない犯罪」――それは実際には、確かに存在しています。
ただ、私たちにはそれを「見えるようにする力」が、今こそ求められているのです。
防犯カメラでも、アラートアプリでもない。
“人が身につけられる信頼できる目と耳”──それが、AR × 生成AIメガネの真の姿です。
この特許構想を実現することで、「安全は誰かに守られるもの」から「自分たちで守り合えるもの」へと進化させたいと願っています。
なお、私は、高次脳機能障害、てんかん、慢性腎臓病、そしてスパイクニューラルネットワークを支援する新しいメガネに関する特許を複数出願しました。
出願番号と内容:
- 特願2023-177021: 失語症を支援するメガネ
- 特願2023-177022: てんかんを支援するためのメガネ
- 特願2024-109289: 慢性腎臓病を支援するメガネ
- 特願2024-159644: 高次脳機能障害を支援するためのメガネ
- 特願2025-019664: スパイクニューラルネットを支援するためのメガネ

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