最近、「スマホばかり見ているとバカになる」――そんな言葉をよく耳にします。
けれど、アメリカのある研究者は、驚きの結果を発表しました。
「スマホを使いこなす50歳以上の人は、認知機能の低下が少ない」
つまり、スマホを使い続けることで、むしろ脳の健康が保たれるかもしれないというのです。
◆ スマホ中毒が悪いって、ほんと?
ニュースではよく、「スマホ中毒は危険だ」「デジタル認知症になる」などと報道されます。
たしかに、目が疲れたり、寝不足になったり、人と話さなくなったり…。
そうした面もあります。
でも、本当にすべて悪いことなのでしょうか?
アメリカ・ベイラー大学の神経学者、マイケル・スカリン博士は、こう考えました。
「みんながスマホを悪者にするけれど、使い方によっては、脳にとっていいトレーニングになるのでは?」
◆ 50歳以上の脳に起きた“変化”
博士が調査したのは、50歳以上の人たちのスマホ利用と脳の働き。
その結果、スマホを日常的に使っている人ほど、記憶力や判断力の衰えが少ないという傾向が見られたそうです。
どうしてでしょうか?
その理由は、「認知的な挑戦」という言葉にあります。
◆ 認知的な挑戦とは?
新しい機械、使い方がよく分からないアプリ…。
「どうやって使うの?」「もうわからない!」と困ることってありますよね。
でも実は、その「困る」「考える」「覚える」という体験そのものが、脳を活性化させているのです。
つまり、スマホを使うことは、「脳にとっての筋トレ」みたいなもの。
スカリン博士はこう言いました。
「年配の人が『スマホは難しい』と言う時、それは脳が挑戦している証拠。つらくても、脳にはプラスかもしれません」
◆ 失語症の私も「スマホが助けてくれる」
私自身、失語症という障害があります。
言葉がすぐに出てこなかったり、聞いてもすぐに理解できなかったりします。
でも、スマホはとても役に立っています。
- 音声を文字にしてくれるアプリ
- スケジュールを通知してくれるリマインダー
- ゆっくり読めるニュースや辞書アプリ
- 絵やスタンプで伝えられるLINEやメモ機能
こうした機能を使いこなすには、最初は苦労しました。
でも、その「苦労」が私の脳を元気にしているのだと思います。
◆ 「悪」ではなく「道具」
スマホは使い方しだいです。
テレビばかり見ていたら体が動かなくなるように、スマホも「ただ見るだけ」では意味がありません。
でも、「自分で調べる」「考えて入力する」「わからないことに挑戦する」
そうした**“認知的な挑戦”**に変われば、スマホは脳の味方になります。
◆ まとめ:年を取っても、脳は成長できる
今回の研究からわかったことは、スマホが脳を悪くするとは限らないということです。
むしろ、新しいことにチャレンジする気持ちが、脳を若く保つカギになるかもしれません。
高校生のみなさんにも知ってほしいのは、「年を取ったら衰える」だけじゃないということです。
脳は、いくつになっても学び、成長できるんです。
そして、失語症のように言葉が出にくい人でも、スマホという道具を使えば社会とつながれる。
それは、テクノロジーのすばらしい可能性です。
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