はじめに
「日本では、どこに行けばいいの?」
これは、SNSやメールを通じて多くの外国人観光客から投げかけられる質問です。東京、大阪、京都という3大都市は定番ですが、観光地として有名になりすぎている分、人も多く、騒がしく、どこか「本物の日本」から遠ざかってしまっているように感じることもあります。
そんな中で私が推したいのが、「山口県」です。特に、8月上旬の山口県。あまり知られていないこのタイミングこそ、静かに日本の本質に触れられる黄金のチャンスです。
なぜ山口県? なぜ8月上旬?
1. 観光客が少ない
8月の日本はどこも夏休みで混雑が激しい。しかし、山口県は例外です。主要観光都市に比べて訪日外国人が圧倒的に少なく、混雑とは無縁。写真も人の頭越しではなく、自然や建築の全景をじっくりと楽しむことができます。
2. 「静かな日本」の魅力が残っている
山口は、歴史と自然が共存するエリア。たとえば、防府天満宮では学問の神様に祈りを捧げる静かな時間を過ごせます。萩市の旧城下町では、江戸時代の武家屋敷が並び、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。これらは、観光地化された「演出された日本」ではなく、「そのままの日本」です。
3. 自然の美しさと風情
青い海と赤い鳥居が印象的な「元乃隅神社」、千畳敷から望む日本海のパノラマ、秋吉台のカルスト台地など、山口は自然美の宝庫です。しかも、ここでも人が少ないため、ゆったりとした時の流れを感じられるのです。
4. 夏でも過ごしやすい
山口県は本州の西端に位置し、都市部に比べて湿度も低く、風が通るため、夏でも比較的快適です。人混みで体調を崩しがちな外国人観光客にとって、安全で健康的な旅先と言えるでしょう。

“山口時間”のすすめ:外国人が得られる体験とは?
外国人観光客の多くは、「観光スポットを制覇する」ことよりも、「日本の暮らしや空気感に触れたい」と思っています。山口では、以下のような体験が可能です:
- 地元の温泉旅館に宿泊し、日本式のもてなし(おもてなし)を体験
- 地元市場で取れたばかりの魚介を味わいながら、職人と交流
- 神社の掃除体験や祭りの準備など、地域活動への参加
これらの体験は、東京の高層ビル群や大阪のテーマパークでは得られない、「人とのふれあい」や「自然との一体感」を感じさせてくれるものです。
地域にとっての恩恵と未来
山口のような“観光後進県”に外国人観光客が来るようになると、地域経済の活性化が期待されます。特に以下のような展開が可能です:
- 空き家をゲストハウスに活用する空き家再生プロジェクト
- 伝統工芸品の国際販売(萩焼、柳井金魚ちょうちんなど)
- 若者や学生との国際交流イベント
このように、山口の8月は「隠れた観光資源」を発掘し、持続可能な観光モデルへと発展させる可能性を秘めています。
結びに
日本を旅する外国人にとって、「静かで、本物の日本」は都市部にはありません。その魅力は、山口県のような、まだあまり知られていない地域にこそ眠っています。そして、8月の山口には、日本の未来の観光モデルがあるかもしれません。
東京のネオンもいいけれど、静かに風鈴の音が鳴る田舎道を歩きながら、日本という国の根っこに触れてみませんか?
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